本事例では、ご自身も高齢で要支援状態のご主人と、認知症を発症された奥様及び疾病等で要支援状態のご子息が同居されていました。ご主人も判断能力が低下した場合の財産管理に懸念があり、また、ご主人が亡くなられた後のご家族の生活を守りたいというご希望もお持ちでした。
そこで、近所に住むご息女を受託者として、信託契約を締結し、ご息女にてお父様とお母様の財産を管理できる体制を整えました。信託契約を締結したことにより締結により、仮にご主人がこの先認知症を発症してしまっても、預金が凍結されてしまって生活資金の支出ができなくなる心配がなくなりました。
また、ご自宅不動産も信託財産とすることで、必要な場合にはリフォームを実施できるようにするとともに、両親が施設などに入所した場合にも、空き家として実家を放置せざるを得ない状態にするのではなく、売却・賃貸など不動産を有効利用できる体制を整えました。
また、お父様としては、自分が亡くなった後の認知症の妻や要支援状態のご子息の生活が心配でしたが、ご息女が受託者として必要な医療費・介護費用等を適時適切に信託財産から支払うことができるようにすることで、この心配にも対処することができました。
弊所では、数多くの家族信託(民事信託)契約の作成に携わらせていただいております。遺言書と異なり、家族信託(民事信託)はまだなじみの薄いものですが、生前対策としてはかなり有効なものですので、ご高齢の方の判断能力が低下した後の資産凍結への対策として、ぜひお気軽にご相談ください。
野俣智裕