自動車を相続した際の名義変更の方法|手続きの流れや必要書類を解説

相続

「自動車を相続したらどうするのか」「名義変更の必要書類がわからない」などとお悩みでしょうか?
自動車を相続した際には、名義変更手続きを行わなければなりません。先延ばしにせず、他の遺産と並行して手続きを進めましょう。
この記事では、
●自動車を相続したときに名義変更が必要な理由
●自動車の名義変更手続きの流れ
●自動車の名義変更に必要な書類
などについて解説しています。
故人の遺産の中に自動車があるケースで知っておくべき内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

自動車を相続したら名義変更が必要


自動車を相続したら、名義変更の手続きが必要です。名義が故人のままだと、売却や廃車を考えていても手続きを進められません。相続人が乗り続けるにしても、事故の際に任意保険から適切な補償を受けられない可能性があります。
不動産や預貯金にばかり気をとられてしまい、自動車の名義変更手続きを忘れることのないように注意してください。

自動車の名義変更手続きの流れ


自動車を相続したときの名義変更手続きは、以下の流れで進めてください。

名義人を確認する

まずは、自動車の名義人を確認してください。
車内で車検証を探して「所有者」をチェックしましょう。車検証が見つからないときは、運輸支局にお問い合わせください。
確認した結果、ローンを組んでいて、所有者が故人本人ではなく信販会社や販売店になっているケースがあります。原則として、相続人は一括返済あるいはローンの引き継ぎにより残債を支払わなければなりません。支払いが難しければ処分が必要です。いずれにせよ、信販会社や販売店に連絡して手続きを確認してください。

評価額を調べる

名義人が本人と確認できたら、自動車の評価額を調査しましょう。相続にあたって財産の価値を知る必要があることに加え、査定額が100万円を超えるか否かで名義変更の際の提出書類に影響を与えるためです。査定は販売店や自動車査定協会などで行えます。

遺産分割協議で所有者を決める

価値がわかったら、新たな所有者を決めます。
故人が遺言書を残していて自動車について記載があれば、遺言書通りに分けるのが通常です。遺言書がなければ、相続人全員で遺産分割協議を行い、自動車の新たな所有者を決定します。
特定の相続人による単独所有としても、複数の相続人による共同所有としても構いません。ただし、共同所有にすると各種手続きが面倒であり、後に利用や処分に関してトラブルが生じるリスクがある点には注意してください。
新たな所有者が決まったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名し、実印で押印します。自動車の遺産分割協議書には書式が用意されており、自動車を特定するために登録番号や車体番号などを記載するようになっています。

必要書類を準備する


相続の際の名義変更に必要な書類は以下の通りです。
●申請書
●手数料納付書(500円の印紙を貼付)
●自動車検査証(車検証)
●故人の死亡が確認できる戸籍謄本または全部事項証明書
●相続人全員分の戸籍謄本または全部事項証明書
●新所有者の印鑑証明書
●新所有者の実印または実印を押した委任状
●車庫証明書(同居家族が相続する場合は不要なケースあり)

以上の他に、誰が相続するかがわかる以下のいずれかの書類を提出します。そもそも法定相続人が1名の場合には不要です。
●遺言書(公正証書遺言以外は検認を経たもの)
●遺産分割協議書(相続人全員で作成し、実印が押印されたもの)
自動車の査定額が100万円以下の場合は、遺産分割協議書の代わりに、新所有者が単独で作成した「遺産分割協議成立申立書」でも手続きが可能です。この場合、査定額がわかる査定証等が必要になります。

車庫証明書など、その場で発行できない書類もあるため、余裕をもって準備してください。
なお、場合によって必要書類が異なる可能性もあります。詳しくはお近くの運輸支局に問い合わせると確実です。

運輸支局で手続きをする

書類の提出先は管轄の運輸支局(旧陸運局)です。運輸支局に出向いて提出し、確認を受けてください。手続きについてわからないことがあれば、運輸支局あるいは法律の専門家に相談するとよいでしょう。

名義変更した後は?

名義変更が済めば、売却や廃車などの処分が可能になります。一定の価値がある場合には売却、ほとんど価値がなければ廃車にするのが一般的でしょう。
売却できず使用予定がない場合でも、すぐに廃車にしたくなければ「一時抹消登録」の手続きをする方法があります。一時抹消登録をした自動車は使用できないものの、税金がかからない点がメリットです。もし使用したくなれば、再登録も可能です。
すぐに廃車にするのであれば「永久抹消登録」を行います。
いずれにしても、運輸支局で必要な手続きをしましょう。

相続後も自動車に乗り続ける場合には、保険の名義人変更が必要です。事故の際にスムーズに補償がなされるように、すみやかに手続きを進めましょう。必要書類等は、保険会社にお問い合わせください。

自動車の相続についてよくある質問

軽自動車だったら?


相続したのが軽自動車だった場合には、手続きは運輸支局ではなく軽自動車検査協会にて行います。必要書類は以下の通りです。
●申請書
●自動車検査証(車検証)
●新所有者の住所を証明する書類(住民票または印鑑証明書)
●故人の死亡が確認できる戸籍謄本等
●相続人であることがわかる戸籍謄本等

軽自動車の場合には、一般的に価値が高くないため遺産分割協議書は必要なく、簡易な手続きで名義変更できます。とはいえ、勝手に手続きをするとトラブルの元です。相続人同士でよく話し合いをしてから進めましょう。

かかる費用はどれくらい?

名義変更に伴って必要な費用の目安は以下の通りです。
●移転登録手数料 500円
●戸籍謄本 1通450円程度
●印鑑証明書 1通300円程度
●車庫証明書 2500円~3000円程度(都道府県による)
●ナンバープレート代 1500円程度(都道府県・種別による)
車庫証明書やナンバープレート代は必要な場合に限ります。
上記はあくまで目安です。詳細は各機関にご確認ください。

相続税は?

自動車も相続財産を構成し、相続税の課税対象になります。評価額を知るために査定をしてもらいましょう。他の財産と合わせて基礎控除額を超えれば、相続税が発生します。

話がまとまらなかったら?

高級車であったり、各自の思い入れが強かったりすると、自動車を誰が相続するかが決まらないケースもあります。共有にする方法もありますが、後の利用や処分に制限が生じてしまう点がデメリットです。
どうしても相続人だけで話がまとまらなければ、調停など裁判所の手続きを利用する方法があります。裁判所で結論が出れば、決定した内容を元に名義変更の手続きが可能です。

自動車を含む相続でお困りの方は弁護士にご相談を


ここまで、自動車の相続に必要な名義変更について、流れや必要書類などを解説してきました。
遺産に自動車がある場合には、車検証で所有者を確認したうえで遺産分割協議を行い、必要書類を運輸支局に提出して名義変更するのが基本的な流れです。名義変更をせずに放置していると、売却や廃車の手続きができません。必要書類は多岐にわたるため、他の遺産に関する手続きと並行して、早めに進めるようにしましょう。

自動車を含む相続についてお困りの方は、弁護士にご相談ください。弁護士は、自動車に関する手続きだけでなく、他の遺産も含めて相続全体をサポートいたします。もちろん、相続人間でトラブルが発生した場合にも対応が可能です。
「相続人の間で話し合いがうまく進まない」「自動車を誰が引き継ぐかで揉めている」といった悩みを抱えている方は、お気軽に弁護士法人ダーウィン法律事務所までお問い合わせください。

この記事を書いた弁護士

野俣智裕
  • 弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士

  • 野俣 智裕

  • ■東京弁護士会 ■日弁連信託センター
    ■東京弁護士会業務改革委員会信託PT
    ■東京弁護士会信託法部

  • 信託契約書の作成、遺産分割請求事件等の相続関連事件を数多く取り扱うとともに、顧問弁護士として複数の金融機関に持ち込まれる契約書等のチェック業務にも従事しております。

  • 東京弁護士会や東京税理士会等で専門士業向けに信託に関する講演の講師を務めた経験も有し、信託や相続に関する事件に深く精通しております。

  • 所属弁護士・事務所詳細はこちら

  • 電話相談・オンライン相談・来所相談 弁護士への初回相談は無料

    相続・信託に特化したサービスで、相続・信託に関するお悩み問題を解決いたします。ぜひお気軽にご相談ください。
    ※最初の30分まで無料。以後30分ごとに追加費用がかかります。
    ※電話受付時間外のお問合せは、メールフォームからお問合せください。
    お電話受付:9時〜21時(土日祝も受付)
    0120-061-057