相続は、借金などのマイナスの財産も承継されてしまいますので、借金の方が大きい場合には、そのようなマイナスの財産を放棄することができます。これを「相続放棄」といいます。相続放棄は、相続を知ってから「3ヶ月」という短い期間内に家庭裁判所に申し立てる必要がありますので、相続手続きではこの3ヶ月を経過しないように気をつける必要があります。もっとも、相続してからある程度期間が経ってから借金が見つかることもあり、裁判所も、絶対に3ヶ月を超えたら放棄を認めないという運用をしているわけではないので、このような場合には専門家へのご相談をお勧めいたします。
相続放棄をしたからといって全ての責任を免れるわけではありません。相続放棄の時に相続財産を現に占有していた場合、例えば、亡くなった方と同居していた郊外の資産性の無い土地建物について相続放棄をしたときは、他の相続人や相続財産清算人に引き渡すまでの間、その財産を保存する義務を負います(民法940条1項)。この義務を怠り、建物の倒壊などで第三者に損害を与えた場合には、責任を負うことになりかねません。
また、相続した土地を国に引き取ってもらう「相続土地国庫帰属制度」が、令和5年4月27日から始まっています。ただし、この制度を利用できるのは、相続や遺贈によって土地を取得した相続人に限られます。相続放棄をした方は、初めから相続人とならなかったものとみなされる(民法939条)ため、この制度を利用することはできません。不要な土地だけを手放したい場合には、相続放棄ではなく、いったん相続したうえで国庫帰属の申請を検討することになります。
もっとも、建物が建っている土地や、境界が明らかでない土地などは対象外です。審査手数料(土地1筆あたり1万4000円)と、10年分の管理費用に相当する負担金(原則20万円)もかかるため、どなたでも気軽に利用できる制度ではありません。このような不要な不動産の処分は、今も社会問題となっております。
こちらは相続放棄に関連するメニューです。併せてぜひご覧ください。
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
荒川 香遥
■東京弁護士会
■宗教法制研究会
相続、不動産、宗教法務に深く精通しております。全国的にも珍しい公正証書遺言の無効判決を獲得するなど、相続案件について豊富な経験を有しております。また、自身も僧籍を有し、宗教法人法務にも精通しておりますので、相続の周辺業務であるお墓に関する問題も専門的に対応可能です。