相続は、借金などのマイナスの財産も承継されてしまいますので、借金の方が大きい場合には、そのようなマイナスの財産を放棄することができます。これを「相続放棄」といいます。相続放棄は、相続を知ってから「3ヶ月」という短い期間内に家庭裁判所に申し立てる必要がありますので、相続手続きではこの3ヶ月を経過しないように気をつける必要があります。もっとも、相続してからある程度期間が経ってから借金が見つかることもあり、裁判所も、絶対に3ヶ月を超えたら放棄を認めないという運用をしているわけではないので、このような場合には専門家へのご相談をお勧めいたします。
相続放棄をしたからといって全ての責任を免れるわけではないのです。例えば、郊外で資産性の無い土地建物が相続財産である場合、解体費用や売り手が見つからないからと相続放棄をしたとしても、建物の倒壊などで第三者に損害を与えた場合には責任を負うことになります。これは、相続財産として適切に管理しなければならない義務は、相続放棄後であっても負うからです(民法940条1項参照)。
令和3年4月1日の法改正により、このような資産性の無い不動産について国に渡す制度も整備はされていますが、一般的に利用できるような制度ではなく、このような不要な不動産の処分については社会問題となっております。
こちらは相続放棄に関連するメニューです。併せてぜひご覧ください。
弁護士法人 ダーウィン法律事務所 代表弁護士
荒川 香遥
■東京弁護士会
■宗教法制研究会
相続、不動産、宗教法務に深く精通しております。全国的にも珍しい公正証書遺言の無効判決を獲得するなど、相続案件について豊富な経験を有しております。また、自身も僧籍を有し、宗教法人法務にも精通しておりますので、相続の周辺業務であるお墓に関する問題も専門的に対応可能です。